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中国・河北省廊坊市 不可解なバブル現象

2024年02月21日

 北京の下町にある胡同(フートン)と呼ばれる路地裏に住んでいた中国人の友人が、隣接する河北省廊坊市に引っ越したと聞いて訪ねた。前の住居は便利な場所だったが、古い上に食事の際にはベッドの横に置かれた小さなテーブルを使うほど狭く、家賃は月4千元(約8万円)だったという。

 新居は高層マンションの3LDK。60歳代の友人夫婦と息子が住むには十分な広さで家賃は月1100元。場所は北京中心部から約50キロにあり、高速道路や高速鉄道を使えば1時間余りで着くため、周辺は北京のベッドタウンとして開発が進んでいる。今や東京以上とも言われる北京の地価高騰を受け、庶民が郊外に移り住む現象は日本のバブル期に似ている。

 ただ入居率を聞くと、友人の息子は「見たとおりですよ」と苦笑し、明かりがまばらな30階近い高層マンション群を指した。築3年ほどのいわゆるタワーマンションでも空き家が目立ち、地方に行くほど深刻といわれる不動産バブルの崩壊を象徴していた。相反するような現象が同時進行する中国経済。不可解さとともに不安も覚える。 (新貝憲弘)