2023年04月11日
通勤通学で使う駅のホームの一角がある日、政治ビラで埋め尽くされていたら-。日本では想像もできないことが、事務所最寄りの地下鉄駅で起きた。列車1両の半分ほどの壁と床一面に、ソウル市の障害者政策を批判する数百枚のビラが張られていたのだ。
政治活動の盛んな韓国では毎週のように広場や行政機関前でデモがあるが、さすがに今回は韓国人にも珍しいようだ。男子大学生(21)は「初めて見たが、公の場を占拠するのはルール違反。他の方法をとるべきだ」と憤ったが、「必要があれば構わない」(20代の男性会社員)と容認する意見もあった。
ただ最も印象的だったのは、ほとんどの通行人がビラに目もくれず、通り過ぎていったこと。内容を確認したり写真を撮ったりしていた人は、1割にも満たなかったと思う。
韓国人の友人いわく「忙しい都会人は自分のことだけで精いっぱいで、ビラもあまり効果はないかも」。確かに、立ち止まって30分以上も周りをジロジロ見回し、赤の他人に話しかけにいくオジサン記者を気にする人も、ほぼいなかったなあ。 (上野実輝彦)