2023年04月30日
今や当然となった米国の分断が、目に見える形で現れた。訴追されたトランプ前大統領の裁判所出頭を取材するためニューヨークに出張したところ、マンハッタンに集まったトランプ派と反トランプ派がフェンスを挟んで対峙(たいじ)し、激しくののしり合っていた。
米国の分断は南北戦争以前から続く歴史的な潮流ともいえるが、政敵を口汚くののしるトランプ氏の登場が事態を悪化させたという見方は多い。
トランプ派の側にいたコネティカット州のケブさん(55)は、「国にとって、分断が良くないということは分かっている」と言えば、反トランプ派のリサさん(62)は「同じ米国民同士が憎しみ合うなんて」と嘆く。それでも、互いに「分断は相手のせい」と譲らず、歩み寄りは見られない。
世界もまた同じ構図で、中国やロシアと、日米など先進七カ国(G7)を中心にした国々との分断が進む。新聞記者として、米国の分断にしても世界の分断にしても、どちらが正しいのかという個人的意見は持っている。しかし、「あなたは間違っている」と言い続けても解決しないのだろう。 (吉田通夫)