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米・ベセスダ 「頑張る」と「楽しむ」

2023年05月19日

 小学5年の長男が通う米国の現地校から成績表が届いた。2つのゼロの数字に目がくぎ付けになる。無遅刻、無欠席。日本では新型コロナウイルス禍の後、学校に行くのを嫌がった時期もあったから、大きな変化だ。

 首都ワシントン郊外のベセスダにある現地校に通い始めてから、長男はいきいきしている。何がそんなに楽しいの? 「嫌なこともたまにはあるけど、毎日飽きないんだよね」。分かったような、分からないような。

 「それは『頑張る』か『楽しむ』かの違いですよ」。米国で知り合った日本人の精神科医に長男の話をしたら、こう言われた。日本では勉強もスポーツもみんな頑張るけれど、米国は楽しむことが第一。楽しんで学ばせるためのカリキュラムもあるという。長男には米国の水が合ったのだろう。

 これまでは私も頑張るのが当たり前だと思い、子どもに同じことを求めていた気がする。今では何ごとも楽しもうとする現地校の雰囲気に感化され、すっかり肩の力が抜けた。「お父さん、日本にいたときよりは怒らなくなったよね」と長男。学ばせてもらっているのは、親の方かもしれない。 (浅井俊典)