2008年10月18日
「平和」。二つの旗が並んだわきにそう書かれていた。
グルジアとロシアの紛争で大きな被害が出た南オセチア自治州の州都ツヒンバリ。新学期が始まり、中心部の広場で、学校帰りの子供たちが遊んでいた。
地面にはカラフルなチョークでたくさんの落書きがあったが、目立ったのが寄り添うように描かれたロシア国旗と自治州旗。大抵、平和の祈りや、ロシアへの感謝のメッセージが添えられている。
ロシアによる独立承認以来、南オセチアではロシアは英雄だ。街中のあちこちで「ありがとう、ロシア」の横断幕がかかる。当然、子供たちも同じ気持ちなのだろう。
国際社会の争いでは常にそうだが、今回の紛争でも責任の所在は、国や民族、政治的立場によって様変わりする。分かりやすい正義の味方なんてどこにもいない。
子供たちの「平和」の祈り。確かなのはそれを壊すのは常に大人だということだ。
(酒井和人)