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玉樹 民族間の思いと虚実

2010年08月16日

 「こんな夜中に、出歩いちゃだめだ!」

 中国青海省地震の被災地、玉樹チベット族自治州。野宿するチベット族を取材しようと車から降りると漢族の運転手に制止された。「大丈夫」と、そのまま行こうとすると「財布とカメラ、気をつけろ。やつら、何をするか分からんぞ」。

 そこは真っ暗。ろうそくの明かりと話し声を頼りに進んだ。「誰だ?」。不審者と思われたのか突然、男らに取り囲まれた。が、日本人だと告げると「わざわざ私たちのために…」と手を合わされた。さらに段ボールの切れ端を座布団代わりに敷いてくれ「ご飯は食べた?」と。

 漢族中心の共産党政権に抵抗感を抱くチベット族の居住区。当局への思いを聞くと「おれたちの土地を侵しやがった」。救援物資が届かないのは「漢族優先だから」と疑う。1週間後、北京に戻ると新聞は「地震は両民族が手を取り合う姿を世界に見せつけた」と喧伝(けんでん)していた。

 (朝田憲祐)

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