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上海 理解し合えぬ同盟国

2011年01月15日

 宴席で隣り合った中国の公安の男性は朝鮮語がペラペラだった。政府間交流で、平壌の大学に留学して5年間、生活したという。

 「平壌には中華料理店もあって普通の街のようだったよ。でも、すぐに違ってると気付いた」

 学内で話をできる北朝鮮の人は教師だけで学生は隔離。街を出歩いても「中国人には誰も本音を言わない。雰囲気で分かるよ」。

 「1年間もいると気がおかしくなる」と言ったところで、上司がチッと舌打ち。同盟国の悪口を言うなという意味だった。

 男性は30秒ほど黙ったが、酔いが手伝ったのか、再び口を開いた。「あの国はおかしい。突然、砲撃なんて付き合いきれない」

 上海でも、北朝鮮の留学生と交わる機会があるという。自身の経験からすれば、北朝鮮の人も留学生は意外にざっくばらんだ。

 「いやいや、社会主義者の彼らは、上海人を資本主義者だと思っている。絶対に打ち解けあえないさ」 (小坂井文彦)