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ソウル 踊り文化場所選ばず

2012年06月08日

 日曜の正午すぎ、支局で二台並ぶテレビを見ていると面白い。右のテレビで韓国の公営放送KBS、左でNHKを映すと、どちらも「のど自慢」番組をやっている。

 全国各地を回り、公募の出場者が歌い、合格判定のかねが鳴るのは同じだ。だが、客席のノリの良さはまるで違う。韓国ではいつも何割かが立ち上がり、踊っているのだ。

 多いのは、パーマ頭の中年女性たち。手を阿波おどりのように頭上にかざし、お尻をぷりぷり、腰をくねくねと揺らす。
 中年以上の韓国人は登山が好きだが、途中の休憩地や下山した広場でも『ズ、チャ、ズ、チャ』といった音楽や歌声に合わせ、踊り出す女性が結構いる。

 団体旅行のバスでも通路で踊る。危険だから道路交通法で禁止され、見つかれば運転手は罰金だ。隠すようにカーテンを閉め切って走るバスは多く、ディスコのように天井に派手な電飾やミラーボールが付いたバスもあると聞く。

 おばさんたちはなぜ踊るのか。いわゆる「東洋のラテン」の血が騒ぐのか、鬱積(うっせき)したストレスの発散のためか。知人の女性に聞くと、「いえ、私は踊りません」とあわてて否定した。彼女は三十代後半。泥くさくも見える「踊り文化」の仲間入りに抵抗するようでおかしかった。 (辻渕智之)

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