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台北 政治は煙のかなたに

2012年12月06日

 台湾では中秋の名月に焼き肉を食べる。台湾人グループの焼き肉パーティーに参加した。会場はゴルフの練習場もあるリゾート。プールサイドにテーブルが並び、もうもうと煙が上がっている。

 なんで焼き肉なのか聞いたが「嫦娥(じょうが)(中国神話の仙女)が煙に乗って月に帰るからだ」とか「焼き肉のタレの企業のCMから始まった」とか諸説あるが、どれもはっきりしない。日本のバレンタインデーのチョコレートと同じでコマーシャリズムの産物というのが、妥当なところか。

 宴席でふさわしくないが、尖閣問題も聞いた。「騒いでいるのは一部。われわれには関係ない」「漁民が魚を捕れればいいんだ」「もっと食えよ」。確かに一般市民には関係ない話だろう。日本では尖閣で親日の台湾が変わるのではと心配する向きもあるが、そんな感じはまったくない。

 日本人の友人は道端の見知らぬ人の焼き肉を見て立ち止まったら「どうぞ」とごちそうになったともいう。もともと政治に距離を置くのが一般台湾人。尖閣ごときで親日感は揺らがない。「やはり台湾は親日だ」と考えていたら上海の知人から「中秋節おめでとう」と電話が。「反日ですごいんだろう」と聞いたら「あれは彼らのこと。俺には関係ないよ」。どの国でも政治は庶民から遠い。 (迫田勝敏)

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