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上海 雨の取り合い結末は

2013年09月12日

 記録的な暑さが続く上海で、地元のテレビ局がある実験を行った。連日40度前後まで気温が上がる中、コンクリートの地面で豚ばら肉を焼くことはできるのか。リポーターが厚切りのばら肉を置くと、10分ほどで肉はピンクから白に色を変え、実験は成功した。

 インターネットの簡易ブログでも「玄関先で目玉焼きが焼けた」「うちの庭ではベーコンエッグだ」と書き込みが相次いでいる。江蘇省では、鮮魚を載せたトラックが横転したところ、地面に散乱した魚が焼き魚になったとのうわさまで広がった。それほど今年の夏、中国東部は暑い。

 浙江、江蘇省では人工降雨がさかんだ。水蒸気を結晶化させる物質をロケットで打ち上げる手法で、本来は砂漠化や農作物の夏枯れを防ぐ目的で使用される。今年はもっぱら「気温を下げよう」と乱用されている。

 各地の報道によると、ロケットを打ち上げるとすぐ数時間の雷雨に見舞われ、気温が5~10度は下がる。一方、隣接省が競うように人工降雨を始めた7月下旬以降、上海では風物詩の夕立が例年より少なく、市民は「周辺に雨を奪われている」と恨めしそうだ。

 周辺での人工降雨と、上海の少雨の関係は不明だ。だが、無計画な雨の降らせ方には、気象を狂わせているのではないかと不安を感じる。 (今村太郎)