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サンフランシスコ 10年ぶり懐かしい顔

2014年06月30日

 サンフランシスコの北に有名なワインの産地「ワインカントリー」がある。たまに車で通り抜けるが、2月、ブドウの木の枝に緑の豆粒のようなものが一斉に出現した。新芽だ。車窓に流れる緑の点々はしばらくおとなしくしていたが、3月中旬から気温が上がるにつれ、いきなり大きくなってきた。

 そうこうしているうちに、久しぶりにある人物に出会った。メキシコ出身者としてはこの近辺で初めてワイナリーオーナーになったレイナルド・ロブレドさんだ。2003年秋の開業祝いに招かれて以来、10年ぶり。メキシコ総領事が出席して祝辞を述べたのを覚えている。

 彼のワイナリーに近い喫茶店にいたら、トレードマークのカウボーイハットをかぶって入って来た。店の奥に進みながら左右の人々と「やあ、やあ」と言葉を交わしている。すっかり土地の名士といった貫禄だ。冬の剪定(せんてい)が済み、霜が新芽を襲う危険もなくなり、一段落といった表情を見せていた。

 4月に入り、高気圧の影響で気温25度を超える日が続いた。農業も観光業にも気合が入る季節がやってきた。(岡田幹夫)