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マレーシア・プトラジャヤ 政府のゆがみ照らす

2014年07月01日

 マレーシア滞在中の夜、知人の現地男性がドライブに誘ってくれた。彼が向かったのは首都クアラルンプール郊外。整備された道路の両脇に斬新なデザインの建物が整然と並び、一つ一つがライトアップされていた。幻想的な光景で、デートスポットであることが察せられた。

 「男のお前と来るような場所じゃないぞ」と言いかけると、彼は建物を指さし「あれは××省」「こっちは○○省」と説明し始めた。行政都市プトラジャヤの官庁街だった。「税金で官庁街を飾り立てる必要があるのか」。腹立たしさを覚えた。彼は応じず話題を変えた。

 後日、教えてもらったことがある。彼は外交官を本気で志していたが、あきらめた。政府はマレー系優遇政策をとっており、中華系の彼は外務省内で責任ある立場に就くことは難しいだろうと考えた。悩んだ末の結論だったという。

 1957年の独立以来、政権交代はなく、政治的自由や表現の自由が制限されている。昨年の総選挙はマレー系以外の不満が顕在化した。ライトアップなんかで国民はごまかされない。彼はあの夜、そう伝えたかったのだろう。 (寺岡秀樹)

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