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米ファーガソン 対立望まぬ祈り届け

2015年01月12日

 抗議デモの喧噪(けんそう)の中で、初老の黒人男性が教えてくれた。「ミズーリ州は『ショウ・ミー』州と言われているんだ」。証拠を見せろ、つまり簡単には物事を信じない州民性を表しているらしい。

 8月、盗みを疑われた黒人青年が白人警察官に射殺されたファーガソン。反発する住民と抑え付ける警察がにらみ合う現場は、そんな気質を象徴するような不信に覆われていた。

 警察への不満を爆発させたデモ隊の一部が大通りにある店舗のガラスを割った翌日、閑散とした通りを歩いた。ガラスのあった窓枠に木の板が張られ、黒人の女性が「ファーガソンに平和を」とか「愛は勝つ」と絵や文字を書き込んでいた。

 「私たちは対立なんて望んでいない。穏やかに暮らしたい」。女性は祈るように話した。

 寒さにかじかんだ手で筆を走らせる姿を私が写真に収めていると、横に白人の男性が運転する車が止まった。「そんなの写して何になるんだ」

 現場にいると、人種間の隔たりを肌で感じる。木の板の絵や文字が、双方の不信を少しでも和らげる「証拠」に映ればいいのだが。(北島忠輔)

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