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ドイツ・ポツダム 持たざる者への共感

2015年04月29日

 「私たちだって(旧東ドイツ製乗用車の)トラバントを、ベンツに替えたくて西ドイツと一緒になったのではないですか」。旧東ドイツ・ポツダムのマイク・シューベルト市議(42)はそんなふうに言った。

 シリア内戦などの影響で増えた難民の受け入れについて支持者と話し合っていたときのこと。ドイツの他都市と同様、収容施設建設は「治安が悪化する」と反対する人がいて進まない。政治的な迫害を受けたのではなく、豊かになりたいだけの経済難民では、と疑う人も多い。

 冒頭の言葉はそんな空気を受けて出た。彼は言う。

 「旧東ドイツで政治的な迫害を受けていたのはごく少数だ。多くは西側の豊かな暮らしにあこがれ、東西統一を支持した。今、私たちの町に来ている難民と、25年前の私たちに違いはないのではないか」

 「だから助けるべきだ」とも「偏見はいけない」とも言わなかった。でも、言葉には持たざる者への共感がこもっていた。車体がプラスチックで、ミニバイクのようなエンジン音をたてて走るトラバントの実物を知っていると、すごく納得できる例えなんだよなあ。(宮本隆彦)

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