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独カッセル 無意識に起こる差別

2020年09月18日

 難民保護に携わったドイツの地方政治家殺害事件から1年となった日、取材で西部ヘッセン州カッセルを訪ねた。街の中心部にある地方行政庁舎には、凶弾に倒れたワルター・リュブケ氏を悼み、さまざまな人たちが献花に訪れていた。

 その中にカッセル市議のアウェット・テスファイエゾスさん(45)がいた。7歳の時、アフリカ東部エリトリアから家族と共に難民としてドイツにやってきたという。取材とはいえ、特に意識せずに出身を尋ねてしまい、はっとした。彼女の答えには少し間があった。

 メルケル首相は今年3月、難民問題を議論する統合サミットでこんな話をしていた。「私の曽祖父はポーランド人だが、私はドイツで『あなたはどこから来たの?』とは聞かれない。でも、黒人の人々は聞かれる。現状を変えるために私たちは考えなければならない」

 ドイツで育ち、ドイツ語を話し、市議として地域のために働いてきたテスファイエゾスさんも、これまで何度も同じように聞かれてきたのだろう。「人種差別は今に始まったことではない」。彼女の言葉が胸に重く響いた。 (近藤晶)

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