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独パイツ ポピュリズムの危うさ

2019年12月23日

 ドイツ東部ブランデンブルク州の州議会選挙で、投票前の週末に反難民・反移民を掲げる排外主義的な右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会を取材した。州の東半分は特にAfDの支持率が高い。

 州南東のポーランド国境に近いパイツは人口4000人余りの小さな町。旧東独地域は東西ドイツ統一後も依然、格差が残る。仕事を求めて若者が流出し、目抜き通りのカフェにいたのはお年寄りばかりだった。

 集会に集まったのは数100人。移民とおぼしき人はいない。アジア系は自分1人で完全にアウェーだ。黒いスーツ姿の警備の人たちが、なぜかツルツル頭で異様な威圧感があった。

 何人かに話を聞いたが、ほぼ答えが同じで、主張を丸のみしている印象を受けた。元看護師の女性(57)が「私たちが言いたいことは、これ」と配られていたグッズを見せた。「東は立ち上がる!」と書いてあった。

 党幹部が演説でメルケル政権をこき下ろすと立ち上がって拍手喝采。ステージと客席が一体となったライブ会場のよう。既存政党への不満を巧妙にすくい取るAfD。ポピュリズムの危うさを感じた。 (近藤晶)