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独ポツダム 原爆の悲劇 刻む石碑

2017年09月20日

 ドイツの街を歩いていて、歴史的に極めて重要な記念碑などに気付かず、通り過ぎていることがある。

 ベルリンの隣ポツダムにあるヒロシマ・ナガサキ広場もその1つ。自宅からひいきのアイスクリーム屋まで散歩する道の脇にあるのを最近見つけた。

 72年前、第2次世界大戦の戦後処理を話し合うため、英国とソ連(当時)の首脳とこの地を訪れたトルーマン米大統領が、日本に原爆投下の命令を下したとされる。

 その広場はトルーマン氏が滞在していた邸宅の真ん前にある。石碑には「原爆の破壊力は、数十万人の人々を死に追いやり、計り知れない苦しみをもたらした。核兵器のない世界を願って」と日独英の3言語で刻まれている。

 周囲にはアイス屋や生花店、ベンチがあり、いつも人々が憩う。歴史的事実の重みと対比すれば、あまりにも平和な雰囲気が漂っている。

 しかし、石碑の設置に至る発端はポツダム市民の運動だったという。巨大な石碑は重さ36トン。他国に降りかかった負の歴史さえも子孫のため永遠にとどめおこうとする意思を感じさせる。 (垣見洋樹)