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中国・重慶 消えた新聞スタンド

2017年09月28日

 出張に出掛けたとき、情報収集のため、決まってするのはその土地の新聞を買うことだ。

 秋の中国共産党大会で最高指導部入りも取り沙汰されていた孫政才(そんせいさい)氏が失脚。彼がトップを務めていた重慶で取材したとき、新聞を買うために、大汗をかく羽目になった。

 ホテルにないので、従業員に聞くと「街頭に新聞スタンドがあるかもしれません。最近はほとんどなくなりましたが・・・。みんな、ニュースはネットで読むので」と言う。中国の「三大かまど」と呼ばれる猛暑の重慶で1時間余りほっつき歩いたが、スタンドは見つからなかった。

 読みたかったのは新トップの陳敏爾(ちんびんじ)氏に関する記事。実は記事はネットでも読める。陳氏は「習近平(しゅうきんぺい)国家主席の意中の後継候補」ともうわさされる人物。紙面での記事の扱い方に関心があった。扱い方自体が重要な情報だと思ったからだ。

 帰りの空港の書店にも新聞はない。最後の頼みで、搭乗機の客室乗務員に「重慶の新聞を」とお願いした。数分後、彼女が「あったのはこれだけ・・・」と差し出したのは上海の新聞。お手数を掛けましたが、これじゃあだめなんです。 (浅井正智)