2009年05月28日
フィリピン北部パンガシナン州のサンニコラスで、貧しい農家に泊めてもらった。孫(5つ)と二人で住むドミンガさん(65)が、井戸の水をくみ、薪(まき)でご飯を炊いてくれた。
ドミンガさんの夫ホセ・ドトンさんは3年前、近くの農道で射殺された。日本が援助したサンロケダム建設に反対する運動のリーダーだった。
夜になると、家族や友人たちがやってきてホセさんの話をしてくれた。一緒に撃たれた弟ジョスダードさんも、傷を見せながら説明してくれた。
犯人一人が捕まったが、政治的な背景は分かっていない。間違いないことは、事業に反対していた農民のリーダーが、何らかの理由で殺された-ということだけだ。
彼の死と、自分が支払ってきた税金の関係について考えてみたが、正直に言って、よく分からなかった。その夜、ドミンガさんが作ってくれた夕食は温かく、とてもおいしかった。
(吉枝道生)