2015年08月28日
バンコクの地下鉄では乗る前に手荷物検査がある。とはいえ、かばんの中身まで調べられることはほとんどない。よくあるゆるさなのだ。
武器はもちろん、動物、揮発性の油、風船、ドリアンのようなにおいのきつい果物の持ち込みは禁止。ドリアンはラップで巻いてあってもダメなどと、ルールはかなり厳しい。
そのくせ、探知機の検知音が鳴っても、係員はペンライトの先をかばんの上に向けているだけ。
乗客に聞いた。大学職員のヌパークさん(25)は「係員と目を合わさなかったら、何もされない。遠慮しているんだろう」。
ラッシュの混雑は東京や名古屋の地下鉄並み。いちいちかばんを調べていたら、大混乱必至だ。
別の男性は日本の新幹線の事件を知っていた。厳しい検査は必要と言いつつ「揮発性の油なんて、他の容器に入れたら分からない。ライターをいちいち没収していたら、パニックだよ」。
先日、かばんの中を一つひとつ丹念に調べる女性の係員がいた。「この地下鉄では手荷物による事件は一度もありません」と誇らしげに話した。少し見直した。 (伊東誠)