2017年06月06日
クアラルンプールで取材中、軽い昼食がほしいと思っていたら、マレーシア人通訳のチョンさんがおすすめのパン屋さんを紹介してくれた。東南アジアでは自分の口に合うパンに出合った経験が少ないので、あまり期待せずに訪ねた。
店で選んだのは、日本と同じ見た目のクリームパン。いつもは一口食べて「何か違う」と思うのだが、今回はカスタードの甘さもパンのやわらかさも、まさに求めていた日本の味だ。チョンさんは自慢げに「この店はマハティール元首相が経営しているんです」と語った。
マハティール氏といえば1981~2003年の首相時代、欧米ではなく日本の経済成長や考え方に学ぶ「ルックイースト政策」を展開し、親日家で知られる。だが、パンの世界まで日本びいきとは驚いた。
10年ほど前の開業時、チョンさんは日本語のレシピをマレーシアの言葉に翻訳した経験があり、思い入れが深いそうだ。
今ではマレーシア国内で10店舗以上に増えており、地元の人たちに大人気という。忠実に再現された日本の味が受け入れられているのは、素直にうれしく思う。 (大橋洋一郎)