2009年01月22日
「君たちは、北のスパイだな」
スーダン南部ジュバの路上にいすを並べた喫茶店。助手と一緒に客に話しかけたら、こう疑われた。
「北」とは、首都ハルツームのバシル大統領らを指す。ジュバの黒人キリスト教徒らは約四年前まで、バシル氏のイスラム政権と内戦をしていたのだ。
確かにハルツームから同行した助手はアラブ人ムスリム。筆者は石油開発でバシル政権と親密な中国人に見えたらしい。なるほど、われわれの風体は完全に「敵」である。
その中国人には、別の路上喫茶でお会いした。われわれの姿を見かけるや、車から降りてきて近くのいすに着席。背中ごしに、こちらの話に聞き耳を立てている。やれやれ、今度は石油資源獲得のライバルとでも疑われたか。それにしても、盗み聞きとは失礼な。
「あなたはスパイか」。そう言ってやろうかと思っているうち、男はすっと立ち去った。
(内田康)