国立天文台によると、
今年(2024年)の節分は2月3日、立春は2月4日だそうです。
立春とは、
1年の太陽の動きを24等分して決められる
季節の目安(=二十四節気)の一つで、
「寒さも峠を越え、春の気配が感じられるころ」とされています。
また節分とは、
季節の分かれ目を指す雑節(土用や彼岸など)の一つで、
立春の前の日を指すのだそうです。
そんな春の気配の到来と共に花を咲かせる
セツブンソウが見ごろを迎えていると聞き、
愛知県新城市にある「石雲寺(せきうんじ)」を訪ねてきました。
↑国道151号沿いに出ていた石雲寺の看板。
「梅と節分草の寺」とあります。
↑駐車場から見上げたところ。
境内と寺畑は小さな山の北麓にあります。
↑入り口付近では
鮮やかな黄色のロウバイが
弾けるように咲いていました。
↑近づいてみると、
つぼみもたくさん付いていて、
勢いがあります。
↑脇には、
寺で保全に力を入れている自生のセツブンソウや、
100年近く前に植栽して育てているウメについて、
説明が記されている看板が立てられていました。
↑散策路はコンクリートで固めてありますが、
セツブンソウが自生する斜面に沿って巡らせてあるため、
足元には注意が必要です。
セツブンソウはキンポウゲ科の多年草で、
関東以西の本州の石灰岩質の半陰地に生えることが多いそうです。
今では希少植物として、
環境省のレッドデータブックの「準絶滅危惧種」に指定され、
愛知や岐阜、静岡では絶滅危惧2類に、
三重では絶滅危惧1B類に指定されています。
ご住職のお話では、
当地では北向きで1日の気温差が少ない山すそに自生しており、
「セツブンソウ」という名前も知らない子どものころから
お母様に「この花は踏んだらいかん」と
教えられてきたとのこと。
「希少植物の保護」という観念が定着する前から、
地元で大切にされてきたからこそ、
今の私たちが楽ませていただくことができるのだなあと
心が暖かくなりました。
↑緑のネットで囲われたセツブンソウの群生地。
写真を撮る人のためにネットの高さは低く、
下の部分も少しめくってありました
(下からのアングルを狙いやすい)。
群生地は、
社殿の脇を流れる小川沿いの斜面に広がっています。
↑今年は例年より咲き始めが早く、
数も多いとのこと。
正直、こんなにたくさんの花を見られるとは思わず、
とても感激しました。
↑基本5枚の白いガクを持つ花たちの群れは、
遠くから見ると星が散りばめられているようです。
↑近づいてみると、
それぞれ立派な緑色のマフラーを付けています。
↑ご住職のお話では、全体では七分咲きぐらいとのこと。
つぼみもちらほらと見受けられます。
↑10センチほどの茎のてっぺんに、
直径約2センチの白い花。
といっても、
花弁に見えるのはガクで、
黄色い小さな点々が真の花。
水色のマッチ棒みたいなのがおしべで、
真ん中の赤紫色の突起がめしべです。
小さな花なのに、
内には鮮やかな彩りを抱えています。
↑花弁に見えるガクの数は、
5枚の個体が多いのですが、
中には6枚の個体(写真左)や、
8枚の個体(写真右)も。
可愛いだけじゃない。
よ~く見てみると、本当に面白い花です。
↑散策路沿いには、
まだ色鮮やかなサザンカも。
↑日当たりの良い場所では、
ウメの花もちらほら咲いていましたよ。
↑ここにも小さな春が。
小川のほとりに芽を出していたフキノトウ(推定)。
雪や冬の寒さに負けずに咲いて、
私たちに春の訪れを教えてくれる花たちに
ほっこりしたり、明るい気分にさせてもらったり。
地元の人が大切に守ってくれている
こんなにも素晴らしい自然が、
いつまでも身近な存在であって欲しいなと
強く思った1日でした。
感染症には十分気をつけて(油断は禁物です)、
四季のある日本ならではの旬の花を楽しみましょう。
取材日:2024年1月27日
石雲寺
愛知県新城市名号字袋林12
TEL:0536-33-0125(石雲寺)
※入場自由。セツブンソウの自生地の囲いの中には絶対に入らないこと。マナーを守って観覧させていただきましょう。
交通アクセス
○公共交通機関
JR飯田線「三河川合駅」から南西へ徒歩約10分。またはJR飯田線「柿平駅」から北東へ徒歩約20分。
◯車
新東名高速・新城ICから国道151号経由で北東へ約19キロ。
※無料駐車場あり(約10台)。
- まころーど
- 名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。