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コラム 花紀行

「南部丘陵公園」のウメ

「南部丘陵公園」のウメ

例年だと、
ウメの花の見ごろは3月上旬になることが多いのですが、
今冬は暖かい日が多く、
早い時期から開花情報が飛び交っていました。

もうかなり開花が進んでいるのではと、
広い場所でのびのびと咲くウメたちを見に、
三重県四日市市にある「南部丘陵公園」に出かけてきました。

↑園内の駐車場近くに張り出されていた「歩こうマップ」。

約48万平方メートルと広大で南北に細長い同園は、
園内南寄りを東西に走る県道44号で北と南に分断されており、
北園には芝生広場や展望の小山、花壇、デイキャンプ場などが、
南園には小動物園や巨大滑り台、ヘルスサーキットなどがあります。

園内に2カ所ある梅林は、北園の南寄り中央と東に位置しています。

東側にあるのが「日永(ひなが)梅林」で、
もう1カ所は「つどいの丘」の北西に面している梅林です。

↑「南部丘陵公園」北園東部の日永梅林の入り口。

↑一帯には修景池や小山があり、
変化の多い地形となっています。

日永梅林は、
江戸時代後期には浮世絵にも描かれ、
「梅の香に袖ふりあふて~」と歌われた場所で、
昭和初期までは大勢の梅見客で大変にぎわったそうですが、
戦争で消失してしまったといいます。

やがて、
郷土史研究会のメンバーを中心に梅林復活への機運が高まり、
1999年に「日永梅林・登城山」を復活させる会が発足。
今では地域の多くの団体や個人に協力を得て、
毎年、ウメの植樹活動を続けているそうで、
昨年11月で2729本になったそう。

同会事務局長の土井数馬さんによると、
毎年3月上旬に開催している「梅まつり」は今年で26回目を数え、
「30回目を迎えるタイミングで3千本達成」が目標とのこと。  

↑第1回復活植樹祭を記念して立てられた「発起人」の案内板。
この方たちの情熱とご尽力のおかげで、
美しいウメの花を楽しめるのだなあと、
感謝の気持ちが湧いてきました。

梅の花に囲まれて、
案内板がうれしそうに見えるのは気のせいでしょうか。

↑赤と白のウメの花が見ごろを迎えていた一角。
隣接する芝生広場には大型遊具もあり、
家族づれの楽しげな声が耳に心地よく響いていました。

今年は、
暖冬のために早く咲いて既に散ってしまった花と、
まだこれからというつぼみが混在していて、
全体の咲き具合の判断がつきにくいようです。

まあ、
一斉に咲いて同じタイミングでみんな散ってしまうよりは、
楽しめる期間が長いと思うことにしましょう。

↑白梅。
爽やかな白い花弁が青空によく映えます。

↑淡いピンク色の紅梅。
陽光を浴びて、輝いているように見えました。

↑少し色が濃いめの紅梅。
八重咲きのようで、一つひとつの花にボリュームがあります。

↑深い紅色の紅梅。
思わず手を伸ばしたくなるような魅力がありますね。

次に、
「遊戯広場」を西に進んで「つどいの丘」の北西に面した梅林へ。

↑西の斜面に植っている梅林を見下ろしたところ。
向こう側に見える山並みは鈴鹿山脈でしょうか。

↑斜面下から上に向かうウメの並木道。
白梅と紅梅が固まって咲いているところが
グラデーションのように見えて本当にきれいでした。

↑斜面のウメたち。
咲いている木と
まだ咲いていない木、
もう咲き終わった木が
密集しています。

↑白梅。
咲き終わって花弁が散ってしまった花と、
満開の花、つぼみとが一本の木に混在しています。

↑淡いピンク色の紅梅。
こちらは、全体に咲き始めかな。
花弁がころんと丸くて可愛い印象ですね。

↑濃い紅色の紅梅。
花は小さいのにすごい存在感です。

同園のウメたちに品種が記された名札はついていませんが、
よく見ると、
さまざまな色や形状の花があって、
違いを発見するのも楽しいです。

↑白い花たち。
花弁やオシベの形状、わずかな色の違いで
木全体の雰囲気が違って見えたりします。

↑淡いピンク色の花たち。
こうして集めて見てみると
少しずつ違うところがあって面白いです。

↑少し濃いめのピンク色の花たち。
濃い色の紅梅たちは高いところで咲いている花が多い印象。
(上手に撮影できなかった言い訳です。。。)

園内では、
ほかにも春の訪れを感じさせる花たちを
見つけることができました。
※植物名はいずれも推定です。
(サザンカもまだたくさん咲いていたのですが、
ここでは紹介を割愛させていただきます。
悪しからずご了承くださいませ)

↑ニホンズイセン(写真左端の一重咲きと右端の八重咲き)、
唐子咲き(?)のツバキ(写真中央)。

↑写真左端:ヒイラギナンテン、
写真中央:シロバナタンポポ、
写真右端:ヒメノオドリコソウとオオイヌノフグリ、ハコベラ。

↑園内「つどいの丘」の南側には
「四日市特別地域気象観測所」もあります。

ここで観測した
温度、湿度、気圧、風向風速、日射日照、雨量、震度、視程
のデータが気象庁に送られ、天気予報や警報発出などに
役立てられているそうです。
こうした施設は初めて見たので、とても興味深かったです。

地元の人が大切に思い復活させたかつてのウメの名所は、
素晴らしい自然環境と相まって、
のびのびとしたウメ本来の姿を楽しめる場所でした。

保護・保全にはご苦労が多いと思いますが、
これからも長く人々を楽しませてくれるウメの名所として
大きく育っていってくれるとうれしいなと思います。

感染症には十分気をつけて(油断は禁物です)、
四季のある日本ならではの旬の花を楽しみましょう。

取材日:2024年2月24日

DATA

南部丘陵公園

三重県四日市市/北園は西日野町~東日野町~大字日永~大字泊村、南園は波木町~貝家町
TEL:059-354-8197(四日市市公園緑政課)
※入園自由。南園での動物ふれあい体験は日曜午後1時半~同2時半。
※2024年の「梅まつり」は3月3日(日)

交通アクセス

○公共交通機関
四日市あすなろう鉄道八王子線「西日野駅」から南西へ徒歩約20分。
または近鉄「四日市駅」から三交バス「医療センター行き」に乗り、「泊山小学校」停で降車、北西へ徒歩約5分。
◯車
東名阪自動車道・四日市ICから国道477号、県道630号などを経由して
南東へ約8.5キロ。
※園内各所に無料駐車場あり。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。