2009年02月25日
「イスラム教が人々に何を説いているか、あなたに教えよう」
同時テロの取材で訪れたインド西部ムンバイで、元インド映画俳優ヤコブさん(58)は熱っぽく言い切った。
「愛だ」
自身はユダヤ教徒だが、母がかつてイスラム教徒だったので、コーランにも詳しい。イスラム過激派がユダヤ教徒も標的にした事件に「人を殺しては何のメッセージも伝わらない」と憤り、続けた。「でも、いつか人類は一つになれる」
ストレートな語り口のヤコブさん。別れ際に、「私が最も尊敬している人物の名前を教えよう」と語り、一枚のDVDを差し出した。ロック歌手矢沢永吉である。
インドで永ちゃん-。思わぬ方向に話が展開したが、邪悪なテロなど、ロックンロールのようには人の魂は揺さぶれない、と訴えたかったようだ。「私も好きです」と応じると、うれしそうに「彼と握手するのが夢なんだ」と語った。
(内田康)