2019年08月21日
4月中旬、インドネシアの首都ジャカルタで、日本の全面支援で建設され、開業したばかりの同国初の地下鉄に乗った。
スカーフをまとったイスラム教徒の女性グループが自撮り棒で記念写真を撮り、はしゃぐ光景が印象に残った。
同国はイスラム教徒が9割近いが、国教を定めていない。イスラムの教えを厳格に守ろうとする保守層が存在感を強めているものの、政治などと宗教を切り離す「世俗主義」の原則が底流にあると感じられる。
地下鉄への期待は在留邦人からも聞こえた。駐在員の国尾(くにお)麻由子さん(48)は「移動時間が読めるので、仕事の約束がある時に助かる」と歓迎した。
ジャカルタの渋滞は世界最悪と評される。特にイスラム教のラマダンには、飲食可能になる日没が近づくと、帰宅を急ぐ人の車が集中するため、効果が大きいとみる。
運行会社の発表では、4月の定時運行率は99.8%で滑り出しは好調のようだ。今後、延伸も予定されている。
大統領選直前の開業には政治利用のにおいも漂うが、住民の利便性向上と両国の友好に役立つと期待する。 (北川成史)