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タイ・ソンクラー 仏教国に潜む多様性

2019年09月12日

 タイ南部のソンクラー県を車で移動した。特産品のゴムの木が生い茂る風景は、中部の穀倉地帯とは違う趣で面白い。

 地元運転手お薦めの食堂に立ち寄ると、店先に並んだ10個ほどの大鍋から湯気が上がり、スパイシーな香りが漂っている。

 客は好みのスープやカレーを選び、ご飯に掛けて食べる。タイでは珍しくない食堂の形式だが、鍋の中身が興味を引いた。

 牛のアキレス腱(けん)や尻尾、顔の肉、内臓など。鶏肉の鍋も少しあったが、他の地方でよく見掛ける豚肉の料理はなかった。

 「このあたりはイスラム教徒のコミュニティーだから、豚肉は出さないの」と話す女性店員たちもイスラム教徒だった。

 国民の9割以上が仏教徒のタイだが、マレーシアに近い南部はイスラム教徒の割合が増す。

 ソンクラー県の西のサトゥン県では6月、迫害を受けるミャンマーから逃れたイスラム教徒少数民族ロヒンギャを乗せた船が漂着した。南東のヤラなど3県は深南部と呼ばれ、イスラム過激派のテロが起きている。

 タイは「仏教国」といわれる。だが、一言で表せない多様性と複雑さを持つことを心に留めておきたい。 (北川成史)

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