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台南 厄よけてもけが注意

2009年02月26日

 「一生のうちに一度は見た方がいい」。地元の人がこう力説するのもうなずける。旧正月(春節)期間を締めくくって台湾南部・台南県塩水の街で繰り広げられるロケット爆竹祭りのことだ。

 疫病退散を起源に100年以上の歴史がある。三国志の英雄・関羽の像を乗せたみこしの巡回に合わせて街のあちこちで大量の爆竹がはじけ飛ぶ。厄よけとばかりに、さく裂する爆竹を体で受け止めようとヘルメットやマスク、手袋などで完全防備した群衆が爆竹の発射台を取り巻く。

 一昔前の学生デモ、映画「スター・ウォーズ」帝国軍の兵士の群れ、はたまた集団コンビニ強盗とでも形容できそうな面々が街を練り歩く様は圧巻だ。焼け焦げた衣服を身にまとっている人も多い。

 けが人もつきものだが、地元の人は気にしちゃいない。大音響に身を委ね、絶え間なく打ち上がる花火に囲まれていると、確かに災いがどこかへ吹っ飛んだ気になる。

 (栗田秀之)