2010年10月20日
パレスチナ自治区ガザに住む旧知の評論家がカイロに遊びに来たので、ナイル川クルーズに招いた。食事の際、彼が注文したのはビール。飲酒が禁じられているはずのイスラム教徒だが、おかわりまでして堪能している。
カイロにビールがあるように、酒を飲むイスラム教徒はいる。パレスチナ人の多くも教えに細かくこだわらない世俗派。ヨルダン川西岸では、酒を出す店がけっこうある。
ガザでもかつてはビールが手に入ったが、3年前、戒律に厳しいイスラム原理主義組織ハマスが制圧して以降、難しくなったという。ハマスを快く思わない住民が少なくないのは、酒のせいとまでは言わないが、こうしたハマスの治世を息苦しく思っているためとも指摘されている。
評論家はガザを出る際、「治療目的」とハマスに申請したそうだ。実際に健康診断も受けたようだが、彼のカラダに一番効いたのは、ナイル川での憂さ晴らしだったのかもしれない。
(内田康)