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北京 当たるも当たらぬも

2011年06月16日

 日本でも原発事故への不安から、水や食料などの買い占めが起きたが、中国も半端じゃなかった。

 「北京は、まだ塩売ってる? 買っておいて」。東日本大震災が起きた数日後、中国人スタッフのもとに、各地の親戚や友人から電話が入った。すでに、その時には北京中のスーパーから塩が消えていた。

 原因はやはりデマ。その後の中国メディアの分析によると、3月14日ごろ、上海付近の沿海部で「塩に含まれるヨウ素が放射能に効く」とのデマが発生。瞬く間に中国全土に広がったという。17日には中国政府が緊急通知を出してやっと収束した。

 この機に乗じてひともうけたくらんだ輩(やから)も。武漢の男性は6.5トン買い占め、返品もできず頭を抱えているという。中国で塩は専売で転売は違法、1人で食べるのに3500年かかる。なかには、「2003年に新型肺炎(SARS)が流行した際に買った塩が、まだ家に残っている」という笑い話まで出てきた。

 ただ、中国人にとって口コミは時に重要。昨年末、北京で車の購買制限が公布される前にもうわさが広がり、1週間で3万台も売れるなどうわさが当たった。今回の塩騒動、株や相場でもうけた人も少なからずいそうだ。

  (安藤淳)