2014年02月10日
町長選と町議会選をやり忘れた街、米ユタ州ウォールズバーグを訪れた。たまたま地元紙でそのニュースを見つけて興味を持った。いったいどんな街なのか。
冬季スポーツの開催地で知られるソルトレークシティーから車で約1時間。猛吹雪の山間部を縫うようにハイウエーを行くと、高い山の間に挟まれた丘陵地帯に街はあった。
記事によれば人口275人。いわゆる町役場の職員は、皆ほかに仕事のある非常勤だ。ある日1人の職員が選挙をしなければならないことを思い出した。郡の選挙管理担当者は「投票日直前になって『どうしたらいいでしょう』と電話があった」と言う。告示もしていなかったため、選挙は見送られた。
オシャレな山荘のような家が牧場を挟んで点々と広がる。ウマやヒツジが飼われていた。昼はほとんどの人がソルトレークシティーなどに働きに出ていることも、急ごしらえで選挙ができなかった理由だ。小さな雑貨店はあるのだが、固くドアを閉ざし、人の気配はない。誰とも話ができなかったのは残念だが、きっと現町長に不満はないのだろう。
実はこの町、選挙を忘れたのは初めてではなく、2年前にも忘れていた。郡当局は「次の2年後は必ず覚えている」と誓う。3度目の正直はなるか。(斉場保伸)