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上海 罰金徴収 何が本物?

2016年07月19日

 上海で5月、でっちあげの罰金を徴収した地下鉄のニセ保安要員5人が拘束された。偽物の制服で保安要員になりすまし、駅構内のエスカレーターで携帯を使った乗客に「公共交通秩序法規違反」と言い掛かりをつけ罰金10元(約170円)をだまし取った。偽造公印を押した領収書まで渡す手の込みよう。

 ニセ罰金の被害は数え切れない中国。陝西省では売春宿から出てきた男が、ニセ警官に4000元をだまし取られた。湖北省ではニセ白バイ隊員が買春の容疑で労働者の男から1000元をだましとった。ニセ隊員は大通りで適当に通行車両を止め「買春したことがあるだろう」と“追及”。身に覚えのある男らが恐れおののき、言われるまま金を支払っていた。

 上海のあるオフィスでは、管理部門のホンモノの職員が管理費の振込先を自分の関係者にして着服していた。このケースでは正規の領収書を発行していたため発覚が遅れた。

 中国の友人は被害続発の背景をこう喝破した。「ホンモノの警官が胸三寸で罰金額を増減したり懐に入れたりするのは珍しくない。誰がニセモノで何がイカサマなのか分からないのさ」 (加藤直人)