【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 北京 地下鉄 苦手がさらに

北京 地下鉄 苦手がさらに

2016年08月09日

 北京の地下鉄が苦手だ。週に数回、出退勤時に使う路線はとにかく人が多い。降りる客がどんなに多くても、ドア付近の乗客は決して、通り道を空けようとせず、立ちふさがっている。中には、ドアの真ん前に大きな荷物を置いて、座り込んだままの人もいる。他の客が下車する時の便宜を考え、いったん電車を降りて再び乗車するという、日本では当たり前の光景を、当地では見かけたことがない。

 ただでさえ、下車が難しくなっている状況で、電車が駅ホームに停車すると、乗客が降りる前に、大勢の人が乗り込んでくる。ドア付近では降りる人と乗ってくる人の押し合いへし合いが必ず起きる。これまでに2回、乗客の波に抗しきれず、目的の駅を乗り過ごすことがあった。

 先日夜のこと。電車が自宅最寄りの駅に到着し、ドアが開いた直後、目の前にいた男性が振り返って怒鳴った。「あんまり押すな!」。ハッとした。私自身が「われ先に」の一団に加わり、無意識のうちに「同じ穴のむじな」になっていた。

 何とも恥ずかしく思い、北京の地下鉄は、それ以降、ますます苦手になった。 (城内康伸)