2009年04月13日
北京の前門地区に路面電車が「復活」したので乗ってみた。この地区は昨夏の北京五輪に合わせて20世紀初頭の街並みが再現され、当時走っていた路面電車も合わせて整備された。
料金は片道20元(約260円)で、地下鉄の10倍。それなのに、開通が年明けまでずれ込んだこともあり、一両編成の電車は乗客でいっぱいだった。しかし、電車から街並みを眺めているうちに興ざめしてしまった。
というのも、留学していた十数年前の前門は、狭い路地に小さな商店と客がひしめきあう「下町」だった。壮大な故宮や天安門とは異なる庶民的な雰囲気こそ、魅力だった。
今回、路面電車を降りて街並みをあらためて眺めると、外観こそレトロな雰囲気を漂わせるが、前門らしい“雑踏”は消えていた。北京の魅力がまた一つ減った寂しさを覚えた。 (新貝憲弘)