2016年09月03日
洞窟の中にコンサートホールや水族館、ワイン貯蔵庫-。ソウル近郊の光明(クァンミョン)市にある廃坑「光明洞窟」を家族で訪れ、多彩さに驚いた。
1912年から60年間、金や銀、銅、亜鉛などを採掘していた鉱山跡を、市主導で2011年に観光向けに再整備した。坑内は気温約12度で、夏は納涼スポットとして人気を集める。炎天下の外から洞窟に入ると、ひんやりした空気に包まれ、生き返った心地になった。
内部はイルミネーションに彩られライトアップされた地底湖や滝も。ワイン貯蔵庫では試飲でき、年間約150万人が訪れる。洞窟内にはお化け屋敷まであったが、子どもが嫌がったため、入るのは断念した。
洞窟巡りの終盤には、日本による植民地時代に徴用などで働いた朝鮮人鉱員らの姿を、人形で見せるコーナーも。朝鮮戦争時に周辺住民が洞窟に避難したり、1970年代に鉱石かすが流れて環境汚染を招いた姿などを伝える展示も続いた。
「植民地時代の痛恨の過去も含めて、歴史的な産業遺産です」。説明文に洞窟の波乱の歩みを思い、今後は明るい歴史が刻まれるようにと願った。 (島崎諭生)