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ロンドン 「よそ者」差別 自覚を

2017年05月17日

 「日本人は、個人ではなく、どこに所属するかを重視する。『外国人』だから入居お断り、という大家はたくさんいます」

 ロンドンで国際交流基金が主催した英国の大学生による日本語スピーチコンテスト。イタリア出身のジョルダーノ・エピファーニさん(24)が取り上げたのは、外国人が日本に適応しにくい問題だった。

 スピーチ後に話し掛けると、日本の文化を学ばない外国人も悪いが、日本人も「いつか帰国する『よそ者』として扱っている」とエピファーニさん。「先進国で人種差別禁止法がないのは日本だけです」。法律をつくるべきだと熱っぽく訴えた。

 日本で賃貸を拒否された経験談は、友人の英国人からも聞かされている。日本でも10年以上前から議論になっていたと思うが、あまり進展していないようだ。憲法だって人種差別を禁じているのだが、日本人の人種に対する感覚は、移民国家の欧州と比べると鈍い。

 日本も緩やかに多文化社会に向かう。在留外国人の怒り、悲しみに耳を傾け、そこに外国人が「差別」と感じるものがあるんだと実感することが先決かもしれない。 (小嶋麻友美)