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北京 実力の差くっきりと

2018年01月16日

 中国共産党大会閉会の翌日、北京の人民大会堂で、お披露目を終えた党の最高指導部7人が退場していく。序列2位の李克強(りこくきょう)首相は、習近平(しゅうきんぺい)国家主席に続こうとする。ところが序列7位の韓正(かんせい)氏がどんどん先を歩いてしまい、追い越せない。思わぬところで影の薄さをさらけ出してしまった李氏に同情したくもなるが、隣にいた中国紙記者はひと言「リハーサル不足」。

 報道陣の質問すら受け付けない20分間の「記者会見」は、習氏の独壇場だった。笑みを浮かべ、自信たっぷりで「中国は新時代に突入した」と演説をぶった。李氏は周囲を見回す余裕はあるものの表情は硬い。他の5人に至っては直立不動で硬直している。邦人記者は「先生に立たされている生徒みたい」。

 翌日付の人民日報一面は、習氏の巨大な写真を掲げ、他の常務委員は習氏との集合写真1枚にまとめられた。私が現場で受けた印象が、そっくりそのまま紙面になった感じだ。

 会見は「1人対その他」という実力差を見せつけるための儀式だったと思えてならない。李氏のズッコケがそのための演出だったとしたら…。いくら何でも考えすぎか。 (浅井正智)