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ロシア・イルクーツク 「金沢通り」に親近感

2018年05月18日

 ロシア東シベリアのイルクーツクで懐かしいものを見かけた。金沢市にある兼六園のシンボル、徽軫(ことじ)灯籠だ。灯籠がある通りの表示には、キリル文字と日本語で「金沢通り」と併記されていた。

 私は10年ほど前まで、金沢市に5年間勤務していた。イルクーツクと金沢が姉妹都市であることは何となく知っていたが、そのときは、まさか訪れる日が来るとは思ってもみなかった。

 市中心部にある長さ2、300メートルの金沢通りには、交流の歴史に関する掲示もあった。姉妹都市の提携は、旧ソ連時代の1967(昭和42)年。昨年、ちょうど50年を迎えた。人口60万人ほどのイルクーツクは、この地域の文化の中心地で「シベリアのパリ」と呼ばれる落ち着いた街並み。金沢と雰囲気が似ていなくもない。

 金沢には公園の一角に姉妹都市イルクーツクを紹介するコーナーがあるものの「イルクーツク通り」はないという。日本の場合、道路名の変更には住民の合意が必要で手続きが難しいためらしい。金沢と同じように雪を載せてたたずむ徽軫灯籠に、交流の発展を願った。 (栗田晃)