2018年09月18日
「Rain rain go away・・・」。カンボジアの首都プノンペンの中心部、にわかに降りだした雨の中、トゥクトゥク(三輪タクシー)に乗った少女たちが、流ちょうに英語の童謡を歌い始めた。
小学生ぐらいの顔立ち。制服を着ている。インターナショナルスクールの帰りに見える。
中国を中心に外国の投資を受け、開発が進むプノンペンでは、富裕層が生まれている。可処分所得が増えた世帯では、教育熱が高まっている。
ある官僚は3人の子どものうち、幼い末っ子を除く2人をインターナショナルの中学校と幼稚園に通わせている。授業料は合わせて年間約1万5000ドル(170万円)。かなりの出費なのだが、所有する不動産の値上がりで余裕があるという。
ただ、恩恵を受けているのは一部だ。カンボジア全体では中学校レベルの就学率が5割を切っているとのデータもある。
7月、総選挙が実施された。最大野党を解党にまで追い込んだ与党の独り勝ちだった。格差が横たわる中、民主主義は後退した。多様な層の意見と生活を尊重する時代は、訪れるのだろうか。 (北川成史)