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バンコク 便利になる前の不便

2019年12月18日

 駅の階段を駆け降り、車内に滑り込んだ。しばらくして、どうやら間違ったと気付き、横の女性に恐る恐る尋ねると、反対方向を指さされた。

 バンコクの高架鉄道BTSや地下鉄MRTは延伸ラッシュの真っただ中。120キロ余の総延長が、10年後には約500キロまで延びる計画だ。ちなみに東京の地下鉄は300キロほど。利便性は増すが、終点駅がわずかの間に変わる。駅構内の案内板で、進行方向の手掛かりにと覚えていたはずの終点の駅名が見つからず、戸惑う。郊外の知人も「近くに駅ができるようだけど、いつから動くのか」と、変化についていけないようだ。

 30年近く前、初めて訪れたのどかな街の変貌に驚くばかり。当時、移動手段といえばオート三輪のトゥクトゥクか、メーターのないタクシーに路線バス。それから人口密集が進み、満員電車や世界最悪級とされる車の渋滞が代名詞に。「国際都市にふさわしいスマートなインフラ整備」にまい進するおかげで、未舗装路の砂ぼこりにせき込むことは少なくなった。代わって、路面に立ち込める車の排ガスに目がピリピリするのは、しばしの我慢か。 (岩崎健太朗)

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