2019年09月01日
タイの新しいリーダーを決める議場に主役の姿はなかった。今月5日、上下両院の合同会議で行われた首相指名選挙だ。
親軍政派が推したプラユット氏は暫定首相の公務で欠席。反軍政派のタナトーン新未来党党首は、選挙違反の疑いで議員資格を一時停止されており、議場に入ることは許されなかった。
依然としてタイ国内に強い影響力を持つものの、タクシン元首相と妹のインラック元首相は国外逃亡中。民主党のアピシット元首相は党方針に抗議して議員辞職し、舞台から去った。
テレビ各局が生中継し、国民の視線が注がれた議場では、指名選挙の手続きが深夜までかかった。ようやく始まった投票の方法に驚いた。呼ばれた議員が一人ずつマイクを持ち、支持する候補の名前を挙げていく。
「コブラ」と呼ばれる造反議員が出るかどうかが最大の焦点だった。この方法ではよほどの覚悟を持たない限り、コブラにはなれなかったのだろう。
ただ、専門家は「コブラはまだ潜んでいる可能性がある」と言う。プラユット氏の続投で、政治が安定に向かうのかが注目される中、気を抜けない日が続く。
(山上隆之)