【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. アメリカ・カナダ
  5. 北京 旅客機遅延多発の背景

北京 旅客機遅延多発の背景

2019年08月31日

 中国の航空事情は遅延が日常茶飯事。1、2時間は当たり前、ひどいときは3時間以上待たされて欠航なんて時もある。

 4月末に日本からの知人を迎えに北京首都空港に行った時は特にひどかった。雨でもないのに3時間遅延の後、さらに3時間遅れ、到着は午前3時。乗客は疲れ果てていた。

 理由は「北京の航空管制」。前日まで北京で開かれた「一帯一路フォーラム」で、各国の元首級の帰国ラッシュと重なったらしい。

 中国の空港の定時運航率の低さは世界有数。悪天候や過密も原因だが、軍事演習などでの航空管制も大きな理由だ。4月の北京空港は中国国内でワースト2位の定時運航率の低さ。遅延便のうち、半数は悪天候だが、19%は軍事活動が原因だった。

 「国家的イベントだから」と空港の誘導員はあきらめ顔。しかし「指導者から先に飛ぶのはいいが、もっと上手にできないのか」と不満の声も上がる。

 会議日程は事前に分かっているはず。「軍に逆らえない」「中国あるある」で済ませず、航空会社も空港も少しは対策が取れないものだろうか。

 (安藤淳)