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ワシントン 盆栽に生きざま感じ

2020年02月10日

 日本でもなかなか見られない立派な盆栽があると聞き、ワシントンにある国立樹木園を訪れた。この樹木園は米農務省の研究施設だが、一般向けにハーブやハナミズキなどを展示しており、そのひとつに米国の建国200周年を記念して、日本が40年以上前に寄贈した盆栽のコレクション53鉢がある。

 最も目立つ場所に展示された五葉松は、広島で育てられた樹齢400年近い名作で、戦時中に落とされた原爆を生き延び、米国に贈られた。力強く、端正な枝ぶりに米国人も感心した様子だ。ワシントンは米国の国力を反映し、世界中から素晴らしい芸術作品が集まり、それを目の前で見られるからぜいたくだ。

 大物政治家の盆栽もある。福田赳夫元首相のカエデは葉が青々と茂り、均整の取れた枝ぶりが堂々としている。一方、小渕恵三元首相のモミジやケヤキは繊細な美しさをたたえるが、小ぶりでどこかつつましい印象。

 小渕氏と言えば地元群馬の選挙区が中選挙区時代は福田氏や中曽根康弘元首相らと同じで「俺はビルの谷間のラーメン屋」というセリフが有名だが、盆栽にも政治家の生きざまは現れていると感じた。 (白石亘)