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ワシントン 異国の地で続く警戒

2019年09月02日

 ワシントンにほど近い、ひっそりとした小さな街のコーヒーショップに彼は現れた。中国民主化運動の元学生指導者で、天安門事件後の指名手配リスト1位となった王丹氏(50)。6月4日の事件30年を前にインタビューに応じてくれた。条件の1つが「具体的な場所を明かさないこと」だった。

 2度の投獄を経て、1998年に米国へ亡命。米国では身の危険を感じたことはないと言うが、警戒は怠らないのだろう。

 「実際のところ、2回刑務所に入った後、私が(民主化運動を)あきらめてビジネスをやっていても、文句を言う人は誰もいないと思う。だが、私は(多くの犠牲者を出した事件の)責任を取りたい」。現在も運動に携わる理由をそう話した。

 亡命して20年。異国の地で彼の人生にもさまざまなことがあったに違いない。取材の際には子犬を抱えた息子らしき少年の姿もあった。

 中国の状況は30年前より「悪化している」と語った表情は険しかった。コーヒーにはほとんど手をつけず、歯がゆい気持ちと未来への希望を語り、再び街中へ戻っていった。 (金杉貴雄)

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