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ベルリン 過去と向き合う子孫

2019年09月24日

 ベルリン南西の端にある街バンゼー。緑豊かな静かな湖畔に、その邸宅はあった。1942年1月20日。ナチス幹部15人が集まり、ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を政策決定した「バンゼー会議」が行われた場所だ。

 今は記念館として、ユダヤ人迫害の歴史や当日の議事録など、ナチスの蛮行を詳細に伝えている。証言者らの展示の中にあった名前に思わず足が止まった。「カトリン・ヒムラー」。ヒトラーの側近だったハインリヒ・ヒムラーの弟の孫にあたる女性。ヒムラーはナチス親衛隊や秘密警察ゲシュタポを率い、ホロコーストを指揮した。

 67年生まれのカトリンさんは15歳のころ、歴史の授業で同級生に「あのヒムラーの親戚か」と問われたエピソードを紹介し、何事もなかったように授業を進めた教師の対応を批判していた。「先生は、私たちと過去の歴史とを結び付けているものを理解させる機会を逃した」

 カトリンさんは後に、家族でタブーとされた過去の過ちに向き合い、本を出版している。幼いころから一族の過去に向き合おうとした思いを聞いてみたいと思った。 (近藤晶)

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