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仏エスプレット 大航海時代 赤い遺産

2019年10月01日

 もわっとした湿気と30度以上の気温。フランス南西部バスク地方の内陸部にある村エスプレットを訪ね、蒸し暑さに驚いた。ピレネー山脈の麓に位置するため、勝手に涼しいイメージを持っていたからだ。

 村の特産品が、大航海時代にアメリカ大陸からもたらされたトウガラシの仲間「ピマン・デスプレット」だ。フランスとスペインにまたがるバスク地方は「美食の地」として知られる。ピマンは、生のままでも乾燥粉末でも、伝統的な料理に欠かせない食材となっている。

 「局所的に亜熱帯のような気候で栽培に適していたのでしょう」。観光案内所の女性が、定着した理由を説明してくれた。大西洋から吹く湿った風がピレネー山脈にぶつかり、年間1500ミリ程度の雨を降らす。山脈から吹き下ろす風はフェーン現象で高気温をもたらすという。

 村内の家の外壁には、ヘタの部分に糸を通して連ね、のれん状にしたピマンをつるして乾燥させている光景があちこちにあった。亜熱帯のような蒸し暑さと、壁を覆う鮮やかな赤い色。独自の食文化が生んだ風景に、欧州の歴史が垣間見えた。 (竹田佳彦)

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