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米ボルティモア 国の誇りの地なのに

2019年12月06日

 米国では国旗、いわゆる星条旗や国歌がとても大事にされている。18世紀末に新たに誕生した移民の国で多民族国家の人々にとって不可欠な国民統合の象徴の1つなのかもしれない。

 その国歌発祥の地、メリーランド州ボルティモアにあるマクヘンリー要塞(ようさい)を訪れた。「第ニ次独立戦争」とも呼ばれる1812年に始まった米英戦争当時、英軍の艦砲射撃を25時間以上受けても耐え抜き、夜が明けるとそこに星条旗が力強くはためいていた-。その光景を詠んだのが米国歌の詞だ。

 最初に入った展示室で、その経緯を説明するドラマ仕立ての映像を見た。最後に国歌が響く中、今まで映像が映っていたスクリーンが上がると全面ガラス張りの向こうに要塞が見え、星条旗がまさにはためいていた。見事な演出に感動し、自分もまるで独立当時の人々と同じような誇らしい気持ちになった。

 ボルティモアはトランプ大統領が最近、地元選出の黒人下院議員への攻撃で「ネズミがはびこり、吐き気がするところだ」と、差別的な発言をした街。理想を夢見て戦った人々は、今の状況を誇らしく思えるだろうか。 (金杉貴雄)

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