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米ベセスダ 黒沼ユリ子さんと再会

2020年06月01日

 年明け、千葉県御宿(おんじゅく)町在住のバイオリニスト、黒沼ユリ子さん(79)にワシントン郊外のベセスダで再会した。黒沼さんは活動拠点のメキシコから御宿に移り住んだ2014年から16年にかけて月1回、県版に「おんじゅく日記」を連載。当時、支局の担当デスクとして音楽はもちろん絵画や歴史、国際政治まで幅広く話を聞く機会を得た。

 黒沼さんがベセスダを訪れたのは、当地の国立衛生研究所(NIH)で研究生活を送る息子夫妻と4歳の初孫に会うため。昨秋の県版記事に「難聴と闘っている」と書いてあったので心配したが、「だいたいこの年になっても、まだ人前で弾いていること自体、珍しいんですよ」と、元気そうで安心した。

 10代でチェコに留学し、その後メキシコで音楽学校を開設。苦労も絶えなかったが、持ち前の楽観主義で乗り切ってきた。

 その黒沼さんから近著をいただいた。語りおろしの自伝で、帯には「悪いことは、良いことのためにしかやってこない」と書いてある。おんじゅく日記でも紹介したことがあるメキシコの格言。仕事に行き詰まることも少なくない中、大いに励まされた。 (岩田仲弘)