2020年06月02日
中国・上海に着いた翌日、口座を開くためにパスポートを携えて、大手国有銀行の支店に足を運んだ。対応してくれた若い女性行員は、パスポートだけでなく「雇用契約書がないと口座が作れない」という。
雇用契約書などは持っていないから社員証で代用したいと伝えると、いつ作った社員証かと聞かれ、約15年前だと答えると「もう期限が切れているんじゃないですか」と疑いの目を向けてくる。
社員証には一般的に期限はないと説明したが、「では、その社員証に付いているQRコードを見せてください」と求められた。15年前に作った社員証にQRコードはないと言うと、彼女はけげんな顔をして奥の事務所に駆け込んでいった。
企業で働く中国人は職業を証明するカードを持っており、定期的に更新しているそうだ。以前は「パスポートがあれば架空の住所を書いたって口座が作れる」と聞いたこともあるが、今は外国との慣習の違いも埋もれるほどルールが厳しい。結局この日は銀行口座を作れなかったが、少なくとも新しい名刺にはQRコードを付けようと思っている。 (白山泉)