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バンコク 一番の「アメージング」

2021年08月13日

 外国人の拝観料は50バーツ(約170円)。タイ人料金は5分の1だが、それは観光客に悟られぬよう、ちゃっかりタイ語で表記してある。屋台では「あまり辛くしないで」「OK」のやりとりがあっても、かなり辛い-。バンコクを散歩していても、幾度となく出くわす風景だ。

 先日「アメージング(驚きの)タイランド」をテーマにしたオンライン観光セミナーをのぞくと、参加者から「タイあるある」があふれていた。以前なら一言、申したくなる対応でも「早くまた、そんな目に遭いたい」と、恋い焦がれるように。

 自由な往来が閉ざされて1年以上。国の屋台骨となる業界の疲弊は限界を超え、プラユット首相は6月半ば、ついに120日後の「開国目標」を宣言した。「リスクはあるが、人々の生活もある」と力強く。一瞬喜んだ私は、少数派だったようだ。

 「計画なく無責任」「また振り回される」。非難の嵐に、政府は「あくまで収束した地域だけ」「カウントは7月から」と見事な朝令暮改。タイの知人に言わせれば「政府の約束が実現することがアメージング」と特段驚きもなかった。それこそ「あるある」だと。 (岩崎健太朗)